2人が本棚に入れています
本棚に追加
/6ページ
更にその日の夜、Ｃ美から電話がかかってきた。
「Ａ子、怪我は良くなってきた？」
「良くなってきたよ。腫れもほとんどひいたし。動かすとまだちょっと痛いけど、来週には普通に動かせると思う。」
「良かった。それでさ、Ｂ助先輩今日普通に出勤してきたんだけどさぁ…。あの人、マジありえないんだけど！」
Ｃ美の話によると、今朝出勤したＢ助は誰からも何も聞かれていないのに、休みを取ってる間私と温泉旅行に行っていたと話しだしたそうだ。
そして旅行中私がわがまま放題でたくさん貢がされたとか、旅館が気に入らないとか言って勝手に帰ったとか、もう別れると言われ二度と顔見たくないから会社辞めてくれと言われたとか嘘をペラペラ話してたとか。
でも誰もＢ助のことを信じなかった。
Ｂ助がご機嫌で嘘を話している間、みんなが白い目で見てることに全く気づいていなかったそうだ。
ホント、残念な人。
大体顔も見たくないから会社辞めてくれって言ったのはお前だろ！
兄に言われた通り、早く会社に連絡しといて良かった。
ちなみにＢ助が白い目で見られていたのは、例の電話のせいではない。
あの動画はＤ郎先輩と上司しか見ていないから。
では、なぜＢ助が白い目で見られていたかというと…。
Ｃ美が職場女性たちに、私の怪我の理由を話したから。
あの会社に休みをもらいに行った日。
みんな私が手首に包帯をしていたのを見ていた。
もちろんＣ美も。
Ｃ美は友達だから、私に直接理由を聞きに来た。
私はＢ助にされたことに怒っていたので、Ｃ美にもし職場の人に私の怪我の理由聞かれたら正直に話していいからねと言ってあったのだ。
ゴキに驚いて彼女を突き飛ばし逃げたダサい男。
そう思われ、職場で笑われればいい。
あのときはそう思っていたのだ。
Ｃ美があの後職場に戻ると、やはり職場の女性たちに私の怪我のことを聞かれ、私から聞いたことをそのままみんなに話した。
また私が見せた動画の事も話したそうだ。
女性は噂好き。
翌日には、別の部署の人まで知っているくらい話は広がっていたとか。
そんな男の話を信じる人なんていない。
彼女に怪我をさせて、嘘までつく最低男。
みんなＢ助のことを無視して、仕事を始めたとか。
自分が思っていたのと全く違う態度を取られたＢ助は、戸惑い立ち尽くしていたらしい。
なぜ無視されるのかわからなかったＢ助は仲の良い同僚の男性に話しかけたが、『話しかけてくるな、嘘つき。』と言われ、周りからクスクス笑い声が漏れた。
最初のコメントを投稿しよう！