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CASE1 別れて正解 最低男
私A子は同じ会社の2歳年上の先輩B助と付き合っていました。
会社の繁忙期が終わり、私達はお休みをもらい二泊三日で温泉に行くことに。
観光シーズンから少しずれていたこともあり、温泉街は空いていて、ゆっくり足湯などを楽しみながら散策できました。
仕事を頑張ったご褒美ということで、少し高い旅館を取っていた私達。
部屋からの景色も良く、夕飯も美味しく、温泉も美肌の湯でお肌ツルツル。
日々の疲れが癒え、最高の気分…。
だったのは、温泉に入るまでの話。
温泉から出て、部屋に戻って二人でビールを飲んでいたときのこと。
どこからかカサカサという音が聞こえてきました。
なんだか嫌な予感がして、音の出どころを探すように部屋を見渡しました。
そして天井を見上げたとき、見つけてしまいました…。
ゴキを!!
「ゴキ◯リ!!」
と、大声を出して立ち上がった私。
私が天井から目を離さず後ずさっていると、
「どけよ!!」
とB助が大声を上げ、私を突き飛ばし走って部屋から出ていったのです!
あまりの出来事に、しばらくその場から動くことが出来ませんでした。
膝と右の手首がズキズキと痛む。
突き飛ばされたときに右手と両膝をついてしまい、両膝は真っ赤になっていた。
ついさっきまでB助が座っていたところを見ていると、部屋を出るには私が立っていて邪魔だったことがわかりました。
でも…、それでも…、いくらゴキが苦手でも…!
彼女を突き飛ばして、我先に逃げるか!?
と、怒りがわいてきました。
私はゴキがいることなど忘れ、浴衣から洋服に着替え自分の荷物だけを持って部屋を出ました。
フロントの近くを通ると、浴衣が開けて半裸状態のB助が
「ゴキ◯リが出るとかありえない!全額返金しろ!」
と旅館の人を怒鳴りつけていました。
私はその姿をこっそりスマホで動画を撮った。
旅館の人がB助の対応に追われているすきに、そっと旅館を出た私。
旅館の外にまだタクシーが停まっていたので、迷わず乗り込みました。
「〇〇県までなんて無理ですよね?」
「〇〇県ですか!?」
隣県なのですが、流石にびっくりの運転手さん。
「無理だったら、どの辺まで行けますかね?」
「あぁ〜、新幹線の駅くらいまでなら…。」
「じゃあ、そこまでお願いします。」
私はタクシーの中でB助の連絡先すべてをブロック。
その後、兄に連絡。
事情を説明して、新幹線の駅まで迎えに来てもらうことに。
「怪我、大丈夫か?」
こんな夜遅くに呼び出されたのに、私を心配してくれる兄に涙が出る。
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