CASE1 別れて正解 最低男

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その日の夜、B助のブロックを解除して連絡をした。 私ではなく、兄が。 そのことを知らないB助は、『話がある』と送ったLIN○に対して、『お前、どこ行ったんだよ!連絡も無視して、ふざけやがって!』と返信してきた。 そしてすぐに電話をかけてきた。 電話をとったのが兄と知らないB助は、兄の横にいる私にも聞こえるくらい大きな声で『ふざけんな!このバカ女が!』と罵ってきた。 それを聞いた兄はスピーカーにして、自分のスマホで動画を撮りだした。 「もうお前みたいな女と付き合ってられない!別れるからな!お前の顔なんてもう見たくないから会社も辞めろ!いいか!?もう来るなよ!来ても居場所はないと思え!」 と一方的に怒鳴り散らして、電話を切った。 「お前、こんなやつのどこが良かったんだ?」 「いや、こんな人だと思わなかったんだよ…。昨日初めて本性を知ったというか…。」 自分でもこんな人と付き合ってたなんて、情けなくなった。 でも今まで私が見ていたB助は優しくて、一緒にいると楽しかった。 あのB助は猫をかぶった姿だったのかな…。 それとも、頭に血が上ると別人格になってしまうような人だったのか…。 どちらにしても、もう関わりたくない。 「おい、A子。今すぐ会社に連絡しとけ。」 「え?」 「お前なぁ…。元彼が会社辞めろって脅迫してきたんだぞ。来ても居場所がないとか、元彼あることないこと言いふらす気だぞ。そうなる前に、お前が事実を話すんだ。」 口汚く罵る証拠として録画していた兄だが、まさか会社辞めろと脅迫する証拠がとれるとは…。 ちなみに録音ではなく録画にしたのは、着信画面にB助と出ていることで証拠能力が上がると思ったかららしい。 お兄、凄すぎる…。  ただもう就業時間過ぎているので、会社に誰もいない可能性が高い。 誰か残っているかもしれないと、一応電話してみた。 「もしもし、✕✕社です。」 「あ、もしもしA子です。上司さんはまだいらっしゃいますか?」 「あぁ〜、今日はもう帰っちゃったねぇ。」 「そうですか…。」 上司のプライベートな連絡先もわからないし、聞くわけにもいかない。 「じゃあ、人事部に誰か残ってたりしませんかね?」 「人事部はちょっとわかんないなぁ。A子さん、僕D郎だけど何かあった?今日も怪我してたみたいだし。」 D郎先輩は同じ職場の5つ上の先輩。 これはラッキーだ。
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