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/*** 2ヶ月前の土曜日 ***/
「敦。どこいくの?」
「ん?内緒」
朝日を受ける海岸通りを、敦の運転する車で進んでいた。
敦は、今日、景子に”結婚を申し込む”つもりで居るのだ。
普段以上に、気を使って運転する敦を、景子は不思議に感じていた。二人が付き合いだして、もう7年が過ぎている。景子も、”結婚”の二文字を意識している。意識しているが、自分から言えない事情もある。
景子は、子供のときに患った病気が原因で、両目とも光を失っているの。彼氏が居なかったわけではない。でも、デートをした後に必ず言われるセリフがある。
”僕では、景子の相手はできない。さよなら”だ、景子は世界で一番”さよなら”が嫌いな言葉になっている。別れの言葉だ。
でも、敦は違った、景子とデートを重ねる。景子を自宅まで送ってくれる。母親が言うには、”嫌な顔ひとつしないで”と付け足してくれる。泊まりに行った事もある。人が多い所では、景子が歩くことをサポートし、景子の邪魔にならないように、軽く手を引いてくれる。足元になにかある時には、さり気なく教えてくれる。
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