取られる事の無いコール

4/9
前へ
/9ページ
次へ
 母親に、連絡先を入れてもらって、連絡をした、今までしていたように、音声入力を使った方法だ。すぐに、敦から返事が来た。母親が確認して読み上げる・・・必要はなかった。敦は、わざわざ電車を降りて、音声を録音して返事をしてくれたのだ。  この日から、景子の世界は広がった。 「景子」 「なに?」 「寒くない?」 「え?いきなりなに?大丈夫だよ」 「ちょっと1ヶ所寄りたい所があるけどいい?」 「もちろん。敦の行きたい所が、私の行く所だよ」 「そう言ってくれるのは、嬉しいけど、行きたい所じゃなくて、行かなきゃ・・・ううん。なんでもない。もうすぐだから我慢して」 「??うん」  車は、海岸線を走ってから、少し脇に入って止まった。 「景子少し待ってて、5分くらいで呼びに来られると思う」 「わかった」 (どうしてだろう、敦。すごく緊張しているみたい) (風が気持ちい場所ね。子供の声が・・・すごく楽しそう) 「景子。おまたせ。少し歩くけどいい?」 「問題ないわ」  二人は、車を止めた場所から、子供たちの声がする方に歩いていった。 「園長先生。景子です」 「あらあら可愛らしい娘ね」 「景子。話していなかった事だけど、驚かないで欲しい「敦くん」あっ景子。俺は、孤児なんだ。それも、両親に捨てられた。園長先生が俺を拾って育ててくれた。俺の母さんだ」 「え?・・・ごめんなさい。園長先生。私、敦さんとお付き合いさせていただいています。橋本景子といいます」     
/9ページ

最初のコメントを投稿しよう!

3人が本棚に入れています
本棚に追加