取られる事の無いコール

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 景子は、敦が正面を剥いている方向に、会釈しながら名前を名乗った。 「園長先生。景子は、目が不自由なんだ「敦くん!」」  園長先生は、景子の手を優しく握って 「景子さん。敦くんの事をお願いします」 「いえ。こちらこそ」  景子は、優しくも温かい手を握り返した。  この手が、敦を育てたのかと思うと、尊敬の思いと、嬉しい思いが湧き上がってくる。 「園長先生。話し込むのはまた今度でお願いします」 「あらそうね。景子ちゃん。またいらしてね。そのときには、敦くんの子供の時の話しとか沢山してあげるからね」 「はい!」 「園長先生!」  敦は、景子にプロポーズする。  景子は、嬉しいながらも保留してしまった。 「敦。いいの?私、こんなだよ?」 「景子。景子だから、俺は結婚したいと思う。園長先生にもらった」 「うん」 「景子。それに、俺、昔・・・かなり」 「うん。知っている。少年院に入っていたのでしょ?」 「え?だれから?」 「親切な人かな?何度か、家のポストに、”敦は少年院あがりのろくでなし”とか入っていた」 「・・・ごめん。本当に、ごめん。でも、なんで?」 「それこそ、敦は敦でしょ。何が有ったのか知らないけど、私に優しい敦が、全てだよ。お母さんに同じ。敦なら・・・」 「なら?なに?」     
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