取られる事の無いコール

6/9
前へ
/9ページ
次へ
「・・・知らない。でも、本当に、私でいいの?」 「景子じゃなきゃダメなんだ。俺は、景子を、橋本景子を愛している。結婚してください。幸せにしますとは言えないけど、俺は景子と一緒になって幸せになる!」 「フフフ。敦らしいね。すごく嬉しい。私をもらってください」  二人は、キスをして、お互いの愛情を確認した。  景子は、母親に連絡をするために、スマホを取り出した。  いつものように、操作して、母親を呼び出すが、応答がない。虚しくコール音が鳴るだけだ。  暫く待ってみても、折返しが無い。  外は、寒くなってきているので、予約しているレストランに移動する事にした。何度も使っている場所なので、店員も覚えてくれている。個室に案内された。  景子のスマホがなりだしたが、登録している番号でない事は、音が違う事で判断できる。  電話には、敦が出るようだ。 「え?それは、本当ですか?」  電話は病院からだ。  景子の母親が、家の前で刺されたという事だ。今、病院で治療を受けている所だが、かなり危険な状況だという事だ。 「・・・うそ、お母さん・・・」 「景子。行こう!」 「え?」 「早く!」  敦は、料金を払って、店を飛び出した。  景子の手を引いて、車に乗せて、連絡があった病院に急いだ。     
/9ページ

最初のコメントを投稿しよう!

3人が本棚に入れています
本棚に追加