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電気作業員のいる放射線室まで、エンジニア達の声は聞こえてこないのは、厚い壁を挟んでいるからだ。
ガラス製の正方形の放射器の表面が一瞬、眩しく光ったと思うと、バシッと稲妻が放電される音がした。過剰な電流が機器の中を流れたのだろう。続いて、その放射器の中から赤い光が突如発生した。
赤色光線は、作業員二人に向かっていく。
〈ビーン、ズババッ〉
「あちゃっ、ヤバイっす!」
「うわ、何だ!」
光が投射した太った男の体、そこは正方形の形で黒くなった。
「ああーっ」
更にすり抜けて、壁に掛けてあった上着にも照射された。
青色の作業服はオレンジ色に変わり、高熱でくすぶりだした。機器の放射口は、勝手に首を振って動き出した。するともう一人の痩せた電気技師の左目を直撃し、その眼球部分が透けて見えた。その光線は下に移動し、彼らの腹部を照らした。すると断面が見えて臓器が動いているのが見える。二、三秒単位で七色に変化する光の放射が終わった処で、作業員の体の透けて見えている部分が元に戻った。
途端に作業員の目や体の部分から、血が吹き出た。白色の光が投射した部分は黒色に変化して焼き焦げた。
「うぎゃー、体がっす。す、す、す」
と、痩せた男は悲鳴を上げて倒れた。
「うぐっ………」
太った一人は、ピクリともしない。
壁は厚く、その惨劇を伝える声は届かない。
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