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「先輩! この壁、鉛で出来ているっす」
上着を脱ぎ、重量級の男は一息ついて、
「ここだけ、その磁気とか電波を防ぐ必要があるから……だろう」
「それにしても、クーラーが無いと、暑いっす」
後方には、天井まで届く程の大型な機械が既に設置されていた。人が寝るようなベッド、それを取り囲むようなリングの形をした白色の機器がそこにあった。
*
壁を隔てた隣のコントロール室では、スーツを着けた技師が二人、コンピュータを中心に並べられた機器をチェックしている。所作を見たら誰でも、外資系の企業に雇われたエンジニアだろうと思う。
「あの放射線器、最新式らしいですね。機能とパワーも凄くて、マルチ帯域ビームが可能とも」
「それは、驚きだ。どんな波長をも発生できる。すると、がん細胞を選んで殺せるか……」
「凄いですね」と、マニュアルを手に、
「ああ、英語。それに専門用語ですね」
「新し過ぎて、日本語版は制作中なんだろう。でも、接続はこれまでの機器と同じだよ」
「私もそう思います」
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