181人が本棚に入れています
本棚に追加
隣の静かな部屋で、電力計のメーターがコツンコツンと二回、細い針が振り切れる音がした。
コントロール室の監視画像を見ていた若手外資系技師が、驚愕していた。わなわなと。
「今、この機器に電流が流れたようです。それも過剰に」
「何だ、初期不良だ。新しい物を取り寄せないといけないぞ……。 もしかして、陽子線も出たとか?」
「ええ、この機器の保有する全ての波長の光が出たようです」
「まさか ……… 中に、電気の奴らはまだ作業中か …… 」
「あっ、いたはずです…… 二人ほど」
「まずいぞ、ちょっと中を見て来い!」
若手エンジニアは重い鉛のドアを空け、部屋の中を覗いた。
「うわ、ちょ、ちょっと来て下さい!」
黒こげになった放射線機器。その横に部分的に切り取られたように黒く焼けた二人の作業員。赤黒い血液がどくどくと、吐き出されている。
「ああっ……… 大変なことになった」
エンジニアらは茫然と立ち尽くした。
人肉と服がこげた嫌な匂いが漂っていた。
最初のコメントを投稿しよう!