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その戦闘を繰り広げた小高く広いその土地が、米国から日本政府へと返還されるまでには、四十年が必要だった。
戦時中、米軍がシュガーローフヒル、(ゴマのすり鉢をひっくり返したような小高い丘)と名付けた場所がある。
「米軍戦車が豪雨のため動けなくなり、丸ごと埋まった。それが昨今の開発時に発見され、実はこっそり解体処理されていた!」
と、話す人もいる。
今では、その丘は、貯水槽に最適な場所として、有効活用されている。
陽射しが降り注ぐ憧れの南国の楽園、沖縄。
県都となる那覇市には、三十万の人々が住んでいる。その北方に隣接したこの土地に名前が付けられた、
『那覇新都心』
その名の通り、すべてが新しく作り変えられていった。
四車線道路が整備され、高層マンション、ショッピングモール、赤から青へと信号機は忙しく切り替わり、渋滞した車の列を処理している。都市モノレールが横を通り、さらにその北側に位置する浦添市がこの町を通して融合し、今では沖縄県の人口の半分近くを有する住宅密集地となった。
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