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「――好きだわ、俺」
「…………えっ?」
「すっごく好み。藤川さんの絵」
……びっくりしました。
その対象が絵だったとは言え、湊くんの口から『好き』なんて言葉が飛び出してくるとは。破壊力抜群でした、心臓に悪かったです。
――それがもし、万が一、何かの間違いで……私に、向けられていたなら。
想像するだに恐ろしいです。今でさえ胸が破裂しそうですのに。
「あのさ、また何か描いたら……貰えたりしない?」
「い、いいですよ……もちろん……!」
「まじ? やった、嬉し!」
少々大げさに見えるガッツポーズをして、全身で喜びを現しています。さすがにここまでの姿を目の当たりにしてしまうと……ものすんごく、恥ずかしいです。こそばゆいです。
「絶対に部屋中……いや、家中に飾るからね!」
「そっ、そんなオーバーなー!?」
そんなにも私の絵を評価してくれることを、嬉しく思ってしまいます。もしそれが場を和ます冗談だったとしても。
でも――彼の無邪気なまでに咲いた笑顔が、偽りない本心から言ってるのだと、如実に教えてくれている気がしました。
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