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「…………」
……ううん? いつもなら、すぐさま大げさなリアクションが飛んでくるはずなのですが。普段はくすぐったく思ってしまいますけど、すっかり様式美と化していた湊くんの反応がないと、どこか寂しさを覚えてしまいます。
お気に召さなかった――わけではないと思うのですが。目はいつものように輝かせてくださってますし。しかし、なんでしょう。先ほどから湊くんが、花の絵と私の顔へ交互に視線を向けている気がします。
「……どうかしました?」
尚も様子がおかしく、そわそわと落ち着きのない湊くん。
何かしら気になることがあるのだとは思うのですが。その対象が絵なのか、私なのかは、さっぱりわかりません。
「――あの、さ」
「はい?」
「……い、いやっ。ごめん、なんでもない」
……? 珍しく歯切れの悪い彼の反応が、余計に私を混乱させます。
やがて気を取り直すように軽く深呼吸をし始めました。再びその顔を見てみれば、いつもの湊くんの、凛々しい表情になっています。
「ありがとう。絶対に、勝ってみせるよ」
「はい。必ず応援に行きますから……どうか頑張ってくださいね」
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