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そして迎えた、運命の土曜日。
そろそろ湊くんの出番なのかな。別のコートにてウォーミングアップをしていた彼が、試合が行われるコートへと戻ってきました。
相手の学校の選手も、どうやら同じ一年生みたいです。
この先の三年間、しのぎを削り合うライバルとなり得る人との対戦とあって、絶対に負けられない――互いからそんな想いがひしひしと伝わってきます。
……と、思ってたら。何やら湊くんが、おもむろにスマホを手に取って弄り出してます。
昨日は緊張するなんて言ってたけど、実は本番に強いマイペースなタイプなのかな……? そう半ば感心していると、キョロキョロと辺りを見回し始めて――私と目が合いました。
反射的に肩まで両拳を掲げて、ぎゅっと握ります。――〝がんばって〟のジェスチャーのつもりです。ちゃんと通じたみたいで、微笑みながら頷いてくれました。
コートへと立った彼の背中へ向け……今一度、胸に手を当てて心の中で呟きます。
――がんばって、湊くんっ。
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