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「で、さ。これ……なんだけど」
「……?」
そういって手渡されたのは、可愛らしくラッピングされた袋でした。
こっそり送っていた、〝健気な〟――否、〝陰湿な〟『ラブレター』の返事でもされるのかと思って身構えかけましたけど。どうやら違う話のようです。
「開けてみてくれる?」
小首を傾げながらも、促されるまま開けてみます。
その中身は――花のデザインされた、可愛らしい栞でした。
「絵のお礼にと思って、前々から何か良いのないか探してたんだけどさ。藤川さん、よく読書してるから……それなら栞がいいかなと思って」
「わっ……。べ、別に、良かったのに。私が好……、勝手に、送ってただけ、ですし」
うっかり『好きで送ってただけ』と発しかけて、慌てて言い直しました。この場合の『好き』は、そういう類の『好き』ではないのですが……今の私は過敏になってます。
「それを言うなら、俺の方も勝手にだよ」
「むぐっ……」
「それで、その……絵柄、なんだけど」
デザインされていた花は――ハナミズキ。
その花言葉には……『返礼』、というものがあった気がします。贈り物のお返しとしても相応しいお花かもしれません。
他にはどんなのがありましたっけ。んーと……そうだ、確か――
「俺も、〝そう〟してみました。……藤川さんを真似て」
――『私の想いを受け止めて』――っ!?
そういう花言葉、あったと思いますけど……ま、まさか……? いや、でも……〝そう〟してみた……? 私を、真似て……って。
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