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「俺は湊。湊和弥。よろしくね」
「あっ、はい……よろしく、です」
私が思い出せないことを察してくれたのか、紳士的にも相手の方から名乗ってくれました。そういうところもまた、モテる要因なんでしょうか。
「部活の休憩がてら、ちょこっと校内探索してたんだけど……こんなとこあったんだね」
湊くんはそう言って辺りをぐるりと見渡します。その横顔を見れば、無邪気にも目が輝いていました。
こういう場所に興味を持つ男の子がいるなんて――それも、それがこんなに綺麗な人だなんて。周りの幻想的な雰囲気も手伝って、いつの間にやら夢の世界にでも紛れ込んでしまったかなと、バカなことを思っていたら。
「藤川さんはよくここに来てるの?」
彼の表情に釘づけになってしまっていた私は、はたとこちらを向いた湊くんとバッチリ目が合ってしまいました。慌てて顔を背けつつ答えます。
「は、はひっ……。ほ、放課後は、だいたい、いつも……」
今まで以上にどぎまぎしてしまって……若干噛みました。あぁ、確実に顔が赤くなってますね、これわ……。
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