この花に想いをのせて

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「何してたの?」 「……絵を、描いてたんです」 「へえ。良ければ見せてもらってもいい?」  少し躊躇いながらも、首を縦に振りました。彼のお願いには、何だか逆らえない魔力があるような気がします。  ――なんでしょう、このかんじ。 「おぉー……すっげ、うっま……! 藤川さんって美術部?」 「それが……この学校、美術部がなかったんです」 「ありゃ、そうなんだ。珍しいね、美術部がないなんて」 「うん。だからこうして、ここで描いてて……」 「なるほどなぁ」  しみじみと頷きながら、私の絵を熱心に見つめてくれています。その目は先ほどこの温室内を見渡した時よりも、輝いて見えました。  ――嬉しいけれど。くすぐったくて、むずむずして……へんなきぶん。 「っと、そろそろ部活に戻んないと。またね、藤川さん」 「あ……はい」  ――……なんでしょう。ほんの少し、モヤっとしたものが胸を(かす)めます。
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