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「あっ。ねえ、藤川さん」
「……?」
胸の違和感に気を取られていた私は、呼びかけられた方へ無意識に顔を向けました。
すると当然の如く、再び目が合ってしまいます。……しかし今度は、なぜかそのまま目を逸らさず――逸らせずにいました。
「また、ここに来てもいい?」
「……う、うん。もちろん、です」
「ありがとう! それじゃまた明日ね!」
綺麗な夕日を背にして、嬉しそうな笑顔を向けてくれます。思わず、ぽーっと見蕩れてしまうほどの笑顔を。
それは私の目には、太陽よりも遥かに眩しく見えました。
……その時に私が描いていた、ポピーの花。
ポピーの花言葉には――『恋の予感』、というものがありました。
……『予感』? ううん、そんな曖昧な言葉じゃありません。
確かに私は、この時――
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