この花に想いをのせて

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 その日の夜、私は絵を描いていました。一輪の、バラの花の絵を。  なぜ『一輪』か、と言うと。  バラはその本数によっても、持つ花言葉が違ったりします。  『一輪』が持つのは――『一目惚れ』。  思い浮かべるは、(みなと)くんの笑顔。  夕日を背景にして、それに負けないほど温かい光を(まと)った、あの笑顔。  (まぶた)の裏に焼き付いた、ドラマのワンシーンのような、あの光景。  そうして描く、夕日のようなオレンジ色のバラの花。  精一杯の想いを込めて――私は、(したた)めました。
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