この花に想いをのせて

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この花に想いをのせて

 ふと窓の外に視線を向けると、桜の木は軒並(のきな)葉桜(はざくら)と化していました。そんな時期ともなれば、この春にスタートしたばかりの高校生活も、ようやく落ち着きを見せ始めます。 「――ふう」  若干年寄り臭く溜息を吐きつつ、帰りの支度を始めました。  つい先ほどショートホームルームが終わり、クラスの皆さんが方々へと散っていきます。その多くは部活動へと向かったのでしょう。  私は運動は得意ではないけれど、苦手と言うほどでもなく。勉強はそこそこできるけど、たぶん上位にはギリギリ食い込めない。クラスの中でも目立たず、休み時間も一人で読書に勤しんでしまうような。良くも悪くも見た目通りの、自他共に認める地味を絵に描いたような存在でした。  そんな私の部活動は、と言うと。これまた「それっぽい」と口を揃えて言われてしまいそうな、中学の頃も所属していた美術部に入ろうと思っていました。  ひとまずは見学でもさせて貰って……と思い、美術部を探していた私は――衝撃を受けます。  なんと、この学校には美術部が存在していなかったです!  どうやらここは運動部への力の入れ具合が半端じゃなく、美術部に限らず文化系の部活はどこも閑古鳥が鳴いてしまっているらしいです。  と言っても、別に落胆とかはしませんでした。元々集団行動は苦手だし。それならばと、さほど悩むことなく帰宅部で通すことにしました。
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