7/7
前へ
/7ページ
次へ
どれぐらいか足を進めて、振り返ってみる。ふたりの後ろ姿が通路の先にある。 梶さんのとなりを、跳ねるような足取りのハルが歩いている。 ふたりの関係性はわからない。親子ではないし、兄弟でもないだろう。血縁はなさそうに思う。つながりがまったく見えてこない。 ただ、彼らのあいだにあるものはわからなくても、敢えて聞こうとも思わない。 となりを歩いている少年の頭を、梶さんがぽんぽんと優しく叩いている。 きっと、ハルの頭に置かれた手には温もりもあり、思いやりもあるんだろう。 ハルのロングカーディガンのすそが歩みにわせて、金魚の尾のように揺れていた。
/7ページ

最初のコメントを投稿しよう!

1人が本棚に入れています
本棚に追加