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「あぁ、足が見えますね」
破れたフェンスから身を乗り出した掃除屋グリーンは、地下数メートルを見下ろしてそう言った。
生い茂った草と建物の影のなかに、スニーカーを履いた右足がかすかに見えている。俺と明石のほか、掃除屋三人衆の視線が集中するが、足はぴくりとも動かない。
「我々も降りますか」
黒いキャップに青いバッジをつけた掃除屋が低い声で言った。黒いマスクをしているせいで、声はくぐもっている。サングラスをかけていて、目元すらわからない。
「まずルート探すとっからはじめんと」
掃除屋の三人はみな、黒いキャップに黒いマスクをしている。そして黒いティシャツのうえに、ゴムのような光沢のある足首までのエプロンをつけていた。キャップに赤いバッジをつけた掃除屋は、方言混じりだった。
「そうですねぇ」
グリーンは、昼食を悩むオーエルのよう顎に手をやり「うーん」と悩まし気に首をかしげた。
掃除屋三人が輪になって唸るのを見て、明石が「あわわ」とそわそわしはじめる。そう、すべての原因はこいつなのだ。
「どうしよう城島~、あの人、死んじゃったらどうしよう~」
「いや、殺すために来たんだけど。いいだろ、結果オーライだろ」
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