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「あ。そうだった」 ただ面倒なのは、明石に追い詰められた目標が破れていたフェンスから落ちてしまったことだ。建築中断になって久しいマンションの敷地内、背の高い雑草や強靭な蔦に邪魔をされて、地下にたどり着く道が見つけられないでいる。 空から低いうなりが聞こえて来る。見上げた空は雨雲がぎっしりしきつめられている。いつ振り出してもおかしくはない。掃除屋の面々は雨合羽をまといながら、作戦も整いつつあった。 「では私とレッドで、ルート捜索。ブルーは荷物とともに待機。確保出来たら連絡します」 「了解」 グリーンの指示に、ブルーは頷いた。 肩から下げていたカバンを差し出したレッドが、 「おいのカバン、ちかっぱ重いっちゃけど」 「大丈夫」 子供でも詰めてんのかと思うほど、カバンはパンパンに膨らんでいる。グリーンのものも併せて受け取ったブルーは、三つのカバンを軽々と肩に提げて飄々としている。 大粒の滴がアスファルトを叩いた。雑草が雨に打たれて大きく揺れている。人気のない、撃ち捨てられた地区が水で煙る。 「降って来た」     
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