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俺たちは、砂埃で汚れた窓越しに、滝にうたれているような通りを眺めていた。通りの向こうには例のマンションがあり、グリーンとレッドがルートを探しに出て十分近く経過している。 明石はとなりで膝をかかえてしゃがみこんでいる。 窓を叩く雨水が流れて行くのが床に反射していて、じっと眺めていた。 突然の雷雨が街を叩く音だけが、このコインランドリーのなかに響いている。 砂や砂利が床に目立つ。湿気を吸って変形した雑誌が、ページを飛び散らして転がっている。回転式の洗濯槽が横出しになり、ドラム式の大きなものは壊れた蓋が床に打ち捨てられている。なかには汚いスニーカーが片方だけ、放り込まれていた。 掃除屋ブルーは三人分のカバンを抱えたまま、自分のカバンから取り出した新聞紙を、木製の長椅子に広げた。その上にカバンを並べて置き、かたわらに腰を下ろした。イスはたよりなく軋むが、崩れることはなかった。 「あの」 低い声が静かにかけられた。 しょんぼりしている明石のかわり、俺が顔を向けると、 「いいですか」 ブルーはソフトケースの煙草を取り出した。 俺が軽く頷くと、ブルーは丁寧に頭をさげて、ライターを取り出した。 グリーンやレッドに比べると、ブルーはがっしりとした身体をしている。背はそこまで高くはないが、じっとそこに座っているだけで、小さな山のような確かな存在感がある。     
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