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俺も言葉をさがして、しばらく時間がかかった。
「いえ、なんでもいいんです。ただ個人的に気になっただけなので」
俺たちの様子を見て、ブルーはこの沈黙の意図を察してくれたのか、先に口を開いた。
「職業病と言いますか、傷跡で誰の仕事だったか、なんとなくわかるんです」
「そんなことが出来ちゃうの?」
「ちょっとすごいでしょ? 合コンで自慢したいんですけどこれも出来ないんです」
「あ~もどかしいぃ~」
「といっても最初に気づいたのはグリーンです。あの人はこちらの業界随分長いので、街で活動している執行人ならば、現場の痕跡だけで言い当てることが出来るんですよ」
ブルーの声からは、グリーンへの尊敬の響きが感じられた。しかし同時にこの世界の濃厚な闇に触れた気がする。始末した人間の処理は永遠の課題ともいっていいほど、俺たちに付きまとい悩ませて来る問題だ。掃除屋の存在があるだけで、目標の始末に集中出来るから、ものすごくありがたい。いったい彼らがどれぐらい前から活動していたのか、グリーンに聞けば輪郭ぐらいはわかるかも知れない。
「えっ、すごすぎ。じゃあぼくらのもわかっちゃうの?」
「めっちゃ性格でますよ」
明石は手で口元を覆って「きゃー恥かしい」と騒いでいる。
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