聡の兄、影の薄い父登場

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「あいかわらず、こーちゃんはかわいいわね」  家につくなり母ちゃんが言った。あのね「息子よ!元気だったのか?」ぐらい聞けっちゅうの!こーちゃん、こーちゃん連呼かよ。 「ん、だな。でも俺より大人だよ」 「そんなの知ってるわよ」  あっさり返された。松田がここにいたら、床に転がって笑っているだろう。 「でもまあ、よく帰ってきたよ。久々に顔みたけど元気そうで安心したわ。今日はお父さんも早めに帰るようなことを言ってたしね。なにか食べたいものある?」  コウタロウにおいしいものを食べさせてもらっているし。正直母ちゃんの料理より旨い。しかし息子としては何かリクエストせねばなるまい。 「ん~鍋とか?」 「さとし、あんたね。今夏なんだけど」  でしたね、そうでした。でも母ちゃんの飯って…黙(鍋が一番無難な選択ナノデスヨ) 「スキヤキがいいな、最後うどんで」 「すきやきね。あったかしら、ビン」  たぶんスキヤキのワリシタが普通につくれることを知らないのだろう。俺も知らなかったし。紀伊家では「すきやきのタレ」なるビンが必須アイテムなのだろう。コウタロウはビン使いません。一応報告しておくよ。  俺って、どんだけコウタロウ馬鹿なのかな。タロコンって大正解。
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