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「ただいま~」
真琴さんの声がした。
「さとちゃん!お久しぶりね」
あいかわらず真琴さんは綺麗だった。さすがコウタロウの親だ、綺麗でかわいい。ちょっと見とれちゃった。
「さと?」
ああ、ああ、すいません。現実に戻りました。
「お久しぶりです、真琴さん。相変わらず綺麗ですね。ちょっとドキドキしました。うちの母ちゃんと大違いです、ほんと」
「嬉しい~コウタロウなんかそんなことヒトッコトも言ってくれないのよ!コウタロウととっ変えてくれない?私の息子になる?」
「はい、喜んで!」
素直な気持ち半分、ノリ半分で言葉にしたのに。
「そんなこと冗談でもいっちゃだめよ、本気にするじゃない」と真琴さん
「僕と兄弟でもいいの?」とコウタロウ
あの……そんなに二人とも真剣に聞かないでくれますか?
結局、そのあと真琴さんとコウタロウが料理にとりかかったので、俺は一人リビングでテレビを見ている。帰ってこなけりゃよかった。親や兄貴の前でコウタロウと一緒にいるシチュエーションには心臓が止まりそうだ。コウタロウが女の子、もしくは俺が女の子ならそんな気持ちにならないんだろうけど、今更ながら性別の壁ってやつを実感。
なんで帰ろうって言ったんだ?コウタロウ。俺、真琴さんに会わせる顔がないよ、もう会っちゃってるけどさ。
なんだか泣きそう。いつも以上に情けない、相変わらずな俺。
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