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「さとちゃん。夏休み帰らないの?」
俺はコウタロウにさんざんな目に合わされてぼ~としていた。返事をするのも億劫なんですけど。こんな可愛い顔して、なんでこんなに……こんなに!恥ずかしくて言えない!
「ねえ、さとってば」
なんだよもう。ぐったりしてんだってば。
「さとちゃん??」
コウタロウが俺にキスをしたから、動けないのに意識が起こる。
「ん……」
「さとちゃん、話せるじゃない」
あのね、そんな顔してニヤリってしないでくれる?俺の中で何かが目を覚ましそうだ。
「使い分けんなよ」
俺が反応しちゃったのは、コウタロウが「さとちゃん」って呼ぶから。それって腰にくる。
「わかったよ。でもちょっとこのままで」
心地よい重みを受け止めて、俺はまたまどろむ。欲しいと思う相手が自分を抱きしめてくれるって、なんでこんなに幸せで涙がでそうになるのかな。
好きだと思う相手にしか貰えない幸福感。誰かまわず寝てきた俺だからこそわかる。コウタロウの腕が今までのどんなものよりも安心できて心をざわめかせる。
俺の三白眼もすてたもんじゃない。幸せ気分で眠るって……ほんとサイコーだ。
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