メロメロ

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 このまま……このまま。  でもね、やっぱり目が覚めちゃうんだ。いい匂いがしたから。コウタロウがゴハン作ってくれる、いつものいい匂い。  起き上がるのは億劫だけど、空腹には勝てない。俺はベッドから床にずりおちる。そこにはコウタロウが作ってくれたご飯がテーブルに並んでいる。いつもズリズリ落ちるのは少々格好悪いがしょうがない。 「さとはいっつも、そうやって。ちゃんと起きればいいのに」  あのな!誰のせいで、動けないか知ってる?それも毎回、毎回!こんな可愛い顔して絶倫を装備しているなんて、どんなギャップ攻撃なんだよ。 「コウタロウのせいじゃんか」 「ん?」 「俺が動けなくなるのは、コウタロウがしつこいからだ!」  コウタロウの顔がいつもと違うものになる、俺が最近知った「大人顔」だ。俺はこの顔に弱い、というか怖い。俺の知らないコウタロウが覗く時間は、なんだかとっても居心地が悪い。そう感じていることを黙っているのが嫌なので言うことにした。 「俺、コウタロウのその顔が苦手」  一瞬顔が固まったあと、コウタロウの顔は俺の好きなニコニコ顔になる。 「うん、知ってたよ、さとが嫌いなのは」 「じゃあ、なんでそんな顔すんだよ!」  知っている?じゃあわざとそんな顔するってこと?それって意地悪じゃない?そうだよね、意地悪だ!
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