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「僕がいくつから、さとを想っていたか知らないからだよ」
「いくつって?ハイ?」
「さとが僕を迎えにきてくれて一緒に学校にいった日からだよ。あの時ギュッて僕の手を握ってくれた。『少しは減るだろう?』って言ったんだよ、さとが。僕はあれから、ず~~とさとだけを見てきた。それが今は僕が手を伸ばせば、そこにいてくれるんだ。しつこくても何でもいいよ。僕はいつも乾いてるんだ、さとの存在を自分の全身で確かめても、それでもいつも乾いてる。さとが悪いんだよ、僕をカラカラにしたから」
あの、あの、あの……ものすごく恥ずかしいんですけど?ものすごく恥ずかしいこと言っていますよ?コウタロウさん?
俺は顔面どころか全身火だるまのように赤いはずだ!こんなこと言うなんて、こんなこと……反則じゃないか!おい!
ジタバタ悶絶していたらコウタロウの腕にすっぽり包まれた。
「ほんと、不思議だよね。僕の腕の中にさとがいるっていう現実にね、涙がでそうなくらい幸せになるんだ」
それって俺が思ってることと一緒じゃんか。もう!
「ん…」
俺はそれしか言えなかった。俺達二人のシアワセというものを実感。それに言葉はいらないよね。包まれる温かさと触れる肌の艶。コウタロウの匂い、互いの心臓のトクトク。
今までもそんなことは沢山目の前にあったのに俺は知らなかったんだ。涙がでそうになるくらいに向かい側の存在に心が震えることを。
醜い嫉妬が存在して、手のなかから滑り落ちそうになったら、どんなに格好悪くても縋っちゃうだろうなとか。そんなの意味わかんないなんて思っていたけど、今ならわかるんだ。
でも恥ずかしいから言わないおく。コウタロウのスイッチいれちゃいそうだし。これ以上は俺の身体がもちません!!!
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