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「こーちゃん!ひさしぶりね!」
かあちゃんは我が息子にではなく「お隣さん」であるコウタロウに第一声を浴びせた。
「ご沙汰しています。すいません迎えにきてもらって」
「バカ息子だけだったらバスに乗れって言うんだけど、こーちゃんなら話は別だわ」
豪快に笑いながら話す母親を見て思う。親子ともどもコウタロウに囲い込まれていませんか?これでいいのですか?
.「助かります。さとがちょっと酔ったみたいで」
「寝てれば治るわよ。ほんと、この子乗り物に弱くてね」
どんどん車にむかって歩く母ちゃんの隣からコウタロウが後退してきた。
「さとちゃん、顔青いね、大丈夫?」
俺の手から荷物を取り上げたとき、コウタロウの指が手の甲をかすめる。『さとちゃん』ってコウタロウが呼ぶ時は、本当に俺を想っている時なんだよ。まあ、たいていはHしてるか、その前後で……その……あの……モゴモゴ。
「いいよ、持てるから」
とりあえず何か言わないといけないので、言ってみた。コウタロウは、笑ってる。
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