ガタンゴトン

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「ここではさ、『さとちゃん』のほうが自然だよ。ずっと僕そう呼んでたし。さっきおばさんに「さと」って言ったけど違和感あった。こっちではずっとさとちゃんにしようかな。いっそうのことさ、さとちゃんって呼ぶことにしよっかな、札幌に帰っても」  俺は何も言えない。別に「さと」でも「さとちゃん」でもどっちでもいいんだよ。たださ「さとちゃん」って言われると、心臓とか胃の上あたりがチリチリするんだ。それでどうしようもなくなってしがみつきたくなる。  しがみついても自然なシチュエーションな場合(まあ、一緒に寝ていたりとか、あの……その……な)は問題ないけど、メシくってたり、学校だったり、まあ、普通の時にはしがみつけないだろ?だから困るんだよ。  俺、どんだけコウタロウが好きなわけ?そんな自分が嫌なんだよね、制御できないって困るしさ。自分が自分と切り離されているようなのは嫌だ。うまくいえないけど  コウタロウはそんなこと知らないんだろうな。よくよく考えたらコウタロウの話をちゃんと聞いてやったことがないような気がする。俺がいっつも聞いてもらっているよな。  コウタロウはニコニコして聞いてくれて、のほほ~~んとしているくせに大人な意見をいうわけだよ。かなわないんだよ、何事もね(おまけに絶倫だし) 「何か飲めば治るかな」 「いや、大丈夫」  乗り物酔いで気持悪いだけじゃなくってさ、なんだか不安なんだよね。なにもかもが。よく言うよね、成就してからが恋の始まりってさ。大丈夫なのか俺!誰か教えて!
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