仕事の内容

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「来たぞ!急いで受け止めろ!」  とてつもなく巨大な丸がゴロンゴロン転がってくる。暗い中鋭く光って見えるそれは、刃物のよう。屈強な男達をも殺しかねない。 「今だ!掛かれ!」  特殊な手袋を着けた男達が五人がかりで丸を受け止めた。 「急げ!認識屋に回せ!」  続けて違う色の丸も駆けてきた。それぞれ男達が全力で受け止める。 「これで全部か?認識屋はまだか?」 「おい、オイラ達はもう認識済んだぞ!」 「一、二、五、六、七、八、九のどれかだ」 「分かった。配置につけ」 「待て待て待て待て!まだ来るぞ!危ない!」  ベンチでくつろいでいた、受け止める男達は急いで逃げた。だが1人、取り残され倒れた男がいた。 「大丈夫か?」 「うぅ……」  男達が近寄ると、倒れた男は絶叫し始めた。意味のわからない言語で。見るとそこには足を失くした、この現場ではもう助かりそうにない哀れな男がいた。周囲の男達は瞳を潤ませながら、倒れた男に無情にも言うしかなかった。 「言い残すことは?」 「俺達は……なんのために……」  涙する男達は足を失くした男の手を強く握り、最期の言葉を掛けた。そして司令官は斧を握りしめ、絶叫し続ける男の頭に向けそれを振り下した。 「祈ろう。コイツは良い奴だった」 「司令官!彼の質問の答え、オイラにも分からない。オイラ達はなんのために……」  斧を強く握りしめて司令官は振り返る。 「それは……俺にも分からない。だがな、働かなければ、俺達は飯も食えなくなるんだ!ここで働く意味は分からなくても、今日を生きるためには仕方ないだろう」  汗の臭いとすすり泣く声が充満している空間。男達は各々魂の意見を口に含んでいるが、吐き出そうとはしない。その理由はやはり、司令官の文言が結局は動かぬ事実ということを分かり切っているからであろう。 「お前ら、弔いは後にしよう。配置につけ!始めるぞ。認識屋、番号は?」 「全範囲だ!ちょっと待て、範囲が絞られそうだ!三、四のプラスチックか金属、どちらかだ」 「決まったぞ!赤い金属だ!押し出し屋、今だ、押せ!」  赤い金属は落下する。このために一人死んだのだ。しかし男達は仕事をやり遂げた。  しっかりとやり遂げたのだ。  小学生はなけなしの小遣いを叩いて上の段のコカ・コーラを買った。喉に炭酸が走り、笑顔になった。
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