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そんな中で先生の教誨を受けようと思ったのは、今思い出しても、それこそ天の配剤としか思えません。こっちはただ生き延びることに執着しているから、当然、教誨なんて興味は有りません。それが、ある日、ふっと受けようという気になったんです。流石に死刑になるかもしれないという諦めモードみたいな気持ちが強くなっていたのかもしれませんが、とにかく、全くの気紛れでした。それが、こんなにも大きな出会いになるとは、本当に奇跡のようなことだと思います。
先生からは貴重なお話を沢山頂きましたが、一番印象的だったのは、こういうお言葉でした。
「自分は気休めを言うつもりはない。残念ながら貴方は死刑になる可能性が高いだろう。だが神仏には、広いお慈悲の心というものがある。貴方は現世で大罪を犯したけれど、それを真摯に反省して心から悔いて、犠牲者に謝罪するならば、来世でのスタートラインは、少しでも違ってくるかもしれない。そして来世で人生をまたやり直して、全うに生きようと頑張り続ければ、いつかは本当に真人間として幸せになる日も来よう……」
私はそれを聞いた時、実際、何かに打たれたような衝撃を覚えたんです。自分には全く無かった思想というか考え方に、文字通り目から鱗が落ちる思いがしました。私のすぐ目の前に、全く新しい世界が開けてきたような気持ちになりました。私はこの世ではクズで終わるが、来世というものがある……そこで頑張ってやり直していけば、いつかは全うな人間としての幸せを掴めるかもしれない。生まれ変わりというチャンスを何度でも与えてくれる神仏のお慈悲の有難さに、私は心から感動し、涙しました。
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