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それはいつもの事で。
白く朝の光がまぶしく、まだ慣れない目を刺激する。夏樹の上で安らかに寝息を立てているのは、恋人である。
細い線の白い肌。昨晩はほんのりと赤くなり、淫らに咲いていた。うつ伏せた浩史の額の髪がさらりと流れる。それを優しく撫でながら、片方の腕を背中に回す。
(ホント、細いよな……)
そう思いながら背骨を指でなぞる。上掛けが肌を撫でて、その刺激で浩史の瞼が微かに反応した。
「起きたか?」
ゆっくりと開く黒瞳に自分が映っているのが見えた。しっとり濡れているそれは、まだ仄かに熱を持っているようで、ふとしたら吸い込まれてしまいそうだ。
「あ、夏樹……。俺、上で寝ちゃって……たね」
まだぼんやりした意識の中で、形の良いふっくらした唇がおはよう、と微笑んだ。首を上げてそこへ優しくキスをして、鼻の頭から額へと触れる。
「ん……もぅ、朝からダメだからね」
浩史はそう言いながら、夏樹の首元へ顔を擦り付けて、マーキングでもするように何度も擦る。
「分かってるって」
朝のまどろみの中で、浩史を抱きしめてその体温を感じる。
明日も明後日も、この先ずっと、この体温を感じていたい。そう思いながら、夏樹は再び弘志にキスを落とした。
【Fin】
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