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階段
階段を一歩一歩登りながら考える。
登り始めてどれくらい経ったろう。
階段の先を見上げて考える。
あとどれくらい登れば辿り着けるのだろう。
しかし、どこに辿り着くのだろう。
どうして、登っているのだろう。
私は誰だったっけ。
けど、登らなくてはいけない。
そして、思い出さなくてはいけない。
私は誰だったかを。
何処に辿り着くのかを。
途中、暗くなったり明るくなったりするから、
きっと時間は経っている。
朝が来て、夜になる。
最初は好きな時に寝て、起きていたが、
今は明るくなったら歩き出し、
暗くなったらその場にうずくまる。
ときどき、湧き水や木の実を見つける。
それらはとても美味しく、其の時だけ、
私は生きてる、と感じる。
あとはひたすら、自分は何者かを考える。
何処へ向かっているのかを考える。
そして今日もまた、うずくまる。
明日また、階段を登るために。
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