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「ここは、あれやね。先輩社員として、真奈美ちゃんに我社の社員としてのあり方をレクチャーしてやらんといかんばい。いくら途中入社で社会人経験があるて言うても、そこそこの企業風土て言うもんがあるけんね」
黒木が真面目(まじめ)くさって言った。
「それもそうやね。やっぱ、人助けは大事やけんね」
舜も賛成した。
(中々良い考えだ。どうやって真奈美ちゃんにお近づきになったものかと、悩んでいたところだ。いきなり一人で誘っても、警戒されるに違いない)
「ちょっと、あんた達。何(な)んか、良からん事ば企(たくら)みようっちゃ無かろうね」
隣のテーブルの斎藤女子から、眼鏡越しに厳しい一瞥(いちべつ)が投げられた。
「おお、怖(こ)わ」
内藤と黒木は、揃(そろ)って首を竦(すく)めた。
やけに眠い。昨日は飲みすぎてしまった。黒木と二人で、明方まで真奈美ちゃん対策を練っていたのだ。舜は冷たいシャワーを浴びながら顔をごしごしと力を込めて洗った。着替えながら、いつのまにやら鼻歌を口ずさんでいる。
*しぇからしい・・・やかましい
*人気番組「時間ですよ」に出演した浅田美代子は〈隣の美代ちゃん〉として人気者に なった。
そうだ!思い出した。真奈美の出現で、僕は舞い上がっていた。あの頃は、僕は、ドラマの主人公だったんだ。
歯を靨き 今日のドラマに 会いに行く
《選評》
シャワーは浴びなくていいの?
(シャワーも浴びたんですよ、喬太郎師匠)
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