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翌日、千鶴は遅刻しそうになった。昨日の一件を考えていたらなかなか寝付けず、記憶があるのは朝方の4時前。そこから知らずのうちに寝ていたようだったのだが、アラームにも気づかず、一緒に登校している友人の電話で目が覚めた。急いで支度を済ませ、なんとか間に合ったものの、急ぎすぎたためか、脳がまだ眠っているようだった。
「ちー! 間に合ってよかったねえ」
ホームルームを終え、前の席に座る友人、沖川鈴が声をかけてきた。
「鈴様のおかげでごぜぇます」
千鶴は、両手を頭の上で合わせ、鈴に礼拝をした。鈴が電話をかけたおかげで、千鶴は遅刻せずに済んだのだった。鈴とは出席番号が前後で、通学に使っている最寄り駅も同じことが判明し、すぐに打ち解けた。鈴は、千鶴より身長が少し高くてスレンダー、そして整った顔立ちだった。髪は耳が隠れるぐらいのショートカットで、まさに知的美人、という言葉がお似合いだった。現に、生徒会に属している。
「それにしても、ちーが眼鏡かけてると賢く見えるねぇ」
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