紫陽花ファインダー

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 高校一年生になり、香川千鶴は写真部に所属した。身長も体重も、日本の女子高生の平均ぐらいで、見た目もいたって普通。普段は黒髪のロングストレートを垂らしているが、撮影する時は邪魔になるためポニーテールにして縛っている。中学同様、高校でも吹奏楽部に入ろうと思っていたが、入学式翌日の部活動見学で、写真部に展示されていた一枚の写真に魅了され写真部への入部を決めた。写真部は全学年合わせて15名。毎週金曜日の放課後にミーティングがあるのだが、それ以外は自由だった。撮影するのもよし、編集するのもよし、帰るのもよし。今日は水曜日。千鶴は、校庭に広がる紫陽花を一眼レフカメラで撮影していた。角度を変えたり、遠近法を使ってみたりして、千鶴なりに技法を練習していた。 「まだまだ、夏弥先輩にはたどり着けないなぁ・・・」 「僕がどうかしたって?」 「・・・! 夏弥先輩!!」     
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