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そのまま寝てしまいたいくらい疲れていたけど、俺はシャワーを浴びるために仕方なく立ち上がった。
6月後半、外は雨続きだ。梅雨時の蒸し暑さからくる不快感にセックスの後の気だるさ。この汗を洗い流してからじゃないと寝られそうにない。
「……紫音」
一刻も早くシャワー浴びて寝たいってのに、空気を読めない男が背中に話し掛けてくる。
「……なに」
聞こえないふりでもしようかと思ったけど、反射的に振り向いてしまったので仕方なく返事をする。
「……紫音は、僕のことが好き?」
男は、いつもなら青白く見えるくらいの白い頬を紅潮させながらそう尋ねてきた。
いつになく真剣な顔だった。いや、いつになくって二週間前に会ったばっかりだけどさ。
その大真面目な顔に、俺は思わず吹き出してしまいそうになる。
――――好き? そんなこと一度も思ったことなかったよ。
だってさ、たった二週間前に会った男だよ?
身体を重ねて寝るだけの関係じゃん。そんなんで好きになるかっての。
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