紫陽花~「冷淡」「移り気」「冷酷」

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「あっ……ああっっ……!!」  フローリングの上、男二人で睦み合っている。  俺に組み敷かれてだらしなく口と股を開いているのは、二週間前に出会ったばかりの男。  ベッドにさえ行かないで固い床で乱暴に抱いているというのに、この男は何も言わないどころか涙を流して悦んでるんだ。 「……ああっああっ……!! すきっ……好きだよ、紫音(しおん)っ……!!」  俺はそれに答えない。その代わりに腰の動きを深く早めるだけ。 「……もう……だめ……んんんっっ!!」  身体がビクビクと震えて、俺の首にしがみついてきた。それと同時に締めつけがきつくなり、俺もすぐに果てる。 「……し……おん……」  涙を溢しながら俺の名前を呼んで、唇を押し当ててくる。  俺はそれに応えない。果てた後にキスをするのはあんまり好きじゃない。  疲れた、早く寝たい。
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