逃げだしたい

4/6
6人が本棚に入れています
本棚に追加
/9ページ
「桃子遅い!」 部屋に入るなり、桃子の一番上の姉、桜が振り向き様に言い放つ。 「ごめんなさい、部活で遅くなりました。」 桃子は、そう言って頭を下げた。 「いいから、早く座りなさい。」 父親の、悟が優しく語りかける。 桃子は、下の姉の杏子の隣に座った。 「では、始めますか。」 父親の悟、そして3人姉妹の桜、杏子、桃子が並ぶ席の向こう側に 新しい母親と連れ子の3人。 新しい家族の御対面の瞬間である。 鞄を足元に置いて、少し落ち着いてきた桃子は、正面に座っている男の子に目を向けた。 「えっ。」 言葉にならない驚き、いや衝撃が走る。 「どうして、貴方がいるの?」 桃子の心の声が聞こえたのか、男は目を合わせた後、気まずそうに顔を背けた。
/9ページ

最初のコメントを投稿しよう!