逃げだしたい

5/6
前へ
/9ページ
次へ
村瀬厚季(むらせあつき) 桃子が中学生の時に告白して、見事に玉砕した初恋の人だった。 野球部のマネージャーになったのも、厚季がきっかけなのだ。 厚季がバッドを振るフォームに、思わず目を止めた。 なんて、綺麗なフォームなんだろう。 当時、野球のルールさえ知らなかった桃子でも、上手いとわかった。 事実、中学生の頃の厚季はヒットを量産。 押しも押されぬ4番バッターだった。 甘いマスクに、女子の人気もかなりあり、目立った存在の厚季。 だけど高校生になり、進学特待生になってからは、野球を辞めてしまった。 何が原因かはよく知らない桃子。 当然、野球部に入部してくるだろうと思っていたのに…。 中学生の頃に比べると、少し大人びて影のある美男子の厚季を前に、桃子は顔を上げる事が出来ないでいた。
/9ページ

最初のコメントを投稿しよう!

6人が本棚に入れています
本棚に追加