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メンバーが揃った所を見計らったように、ボーイ達が、手際よく各テーブルのグラスに飲み物を注いで回る。
「では、改めまして…乾杯しますか。」
父親の悟がグラスを持って立ち上がる。
他の家族の者もそれに次いでグラスを持って立ち上がった。
「ふつつかな者ですが…、これからよろしくお願いします。」
「こちらこそ…。まだお互い慣れない事もあると思いますが、みなさんよろしくお願い致します。」
父親の言葉に続いて、新しい母親になる奈保子が、桃子達に頭を下げた。
綺麗な人…。
だから厚季君、母親似で綺麗な顔をしているんだ。
厚季の二つ上の姉、それに妹も人並み外れた美貌の持ち主であった。
自分の姉達も、美人で有名だったが、それさえも霞むほどの…。
これが新しい私の家族。
美人の代名詞になど縁のない桃子
そんな桃子を値踏みするように見つめてくる厚季の妹の希美(のぞみ)
ますます顔を上げられない桃子だった。
「お兄ちゃんと同級生ですよね。私も今年から栗林高校に入ります。よろしくね
お姉さん。」
お姉さんって、初めて言われた桃子は戸惑った。
「あ、よ、よろしく…。」
しどろもどろに答えるしか出来ない。
とにかく、目の前に厚季がいるだけで落ち着いていられない。
厚季と家族になる、同じ屋根の下で暮らす。
どうしていいか分からない。
この現実から逃げたしたい!
そんな思いの桃子がそこにいた。
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