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4人家族からいきなり倍の8人家族になる。
それを想像しただけでも大変な変化である。
亡くなった祖父母、母親がいた7人家族とはまた違う。
桃子とは、まったくの他人との同居なのだ。
古い家だが、昔からの大きな屋敷の一軒家。
8人家族になろうが、そこは問題なかった。
少し、近代的にリフォームを施し厚季達の受け入れの準備は滞りなく春休み中に終わった。
そして、入居予定日の前日を迎えた。
「桃子、今日も部活か?」
父親の言葉に、明るく答える桃子
「うん、たぶん何時もの時間に帰ると思う。」
「すまないな…俺のわがままで、いろいろ気苦労かけて…。」
「何言ってるのお父さん!
いままで私達を育ててくれて感謝してる…。
仕事と育児の両立は、大変だったと思う。
今度はお父さんが幸せになる番だよ。」
「ありがとう…な、桃子。」
目頭を押さえてうつむく父親の悟。
「お前が、背中を押してくれなければ、この日を迎える事なんて出来なかった…。」
「泣かないでよ、お父さん!
涙もろくなる歳にはまだ早いよ。」
家族のために真面目に働いて育ててくれた父親の再婚を、一番に応援したのは桃子だった。
母親と小さいときに死に別れている桃子は、
ほとんど母親の記憶がない。
男手ひとつ、父親に育てられたと言っていい。
だから、父が大好きで、誰よりも大切な存在なのだ。
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