雪が降る。

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 自分たちは、いつも、こうしてきた。  広い、広いこの世界で、いつも二人きりで凍えるから、凍ってしまわないように身を寄せる。  ぴたりと一つにくっついて、互いの体温を分け合って、ようやく眠ることが出来た。  奥底に眠る蜜の味を早くに覚えてしまい、無差別に味わうけれど、美味しいのは一瞬で終わってしまう。  そしてどんなに飲み干しても、瞬く間に渇きが襲ってくる。  いや、飲めば飲むほど、渇いていく。  だけど。  勝己がそばにいるだけで、何もかも遠くに離れていった。  そして、どろどろに汚れた自分を、柔らかな白さですっぽりと覆い隠してくれる。 「憲、あのね・・・」  何事か伝えようと身動きするのを、腕の力を強めて制す。 「動くな」  多分、大切なことを、彼は言いかけた。  でも。 「ちょっと、だまってて」  可哀相な弟に、非道いことを言っている。  それでも。  今は、何も聞きたくない。 「うん・・・」  とく、とく、とく・・・。  小さな、小さな鼓動。  どこか天窓の向こうの雪のリズムに似ている。  さら、さら、さら・・・。  雪が降る。  命の上に、降り積もる。  白く塗り込められたこの世界のどこかで、  花は、また咲くのだろうか。
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