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一人の人間の少女は、アウァーリペリティアと言う王国のシアビラン街で産まれた。育ったのは、アーミシュ王宮下街。産まれて歓迎なんてしてくれるモノは居なかった。
少女は、常に何かに欠けていた。大事な何かを常に欠いていた。
親は既に他界していた。原因は、地下の街に住む吸血鬼達。少女の両親は正義感が強かった。騎士団に属し、戦場で散っていった。
そうして、独り身となった少女は幼少時より得意とした銃の道に歩み始めた。
地下のアッシュムーア街やムアーズライト街には、沢山の吸血鬼が居るのだと教わった。
両親と同じ騎士団に入ろうかとも考えたが少女はそれを辞めた。
「無駄な争いをして、表面上の平和ばかり」
当時の少女はそう思った。少女は、自らの銃の腕を認めてもらいたくて、暗殺に手を染めた。
少女に足りないのは、一体何だったのか。それは最早、少女にすら解らないものとなっていた。
少女は、親を幼くして無くした。そう、吸血鬼によって。然し、少女はその記憶を忘れ去ろうとした。
そして、もう一人の自分を作り上げた。欠けた何かを持てる、完璧な少女を。
名前を変えて、表情を作り、声も一度潰し、あたかも別人として。
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