蒼色の絵描き

3/3
2人が本棚に入れています
本棚に追加
/37ページ
 カリア街南部のブリュワーズ地区25番地4丁目にボクのアトリエはある。  ボクが向かう商店街が在るのは三つ先の22番地1丁目。長く緩い三つ編みをいつも通り引きずって歩いていく。  蒼い髪の頭には淡い碧のコマドリの羽根が付いていて、着物とアンマッチだどよく言われるけど、ボクの羽根だし気に入っている。  歩くこと数十分、マリノス芸術学園の予鈴が鳴る。  待て、ボクは何か忘れている気がする……。大事なことなんだろうけど何だっけ……。  考えながら歩くこと更に30分。 「あ。……思い出した、今日、学校の日だ」  思い出せたは良いが、乗り気ではない。ボクは、自らの芸術作品を完成させたいのに……。  時計を見れば、9時50分。学校が始まるのは10時、授業が始まるのは10時30分から、まだ間に合う。  因みに、今日の学校は自由参加なので出席しなくても何も言われない……と言うか、少々遅れても、居なくても気付かれない。だけど、やっぱりボク的にはなんや言うけど行きたいのが、本音だった。  結局目的地を学校にした。なので通る道を商店街22番地1丁目から、24番地2丁目に変える。  22番地1丁目から、マリノス芸術学園まで約40分。対して、24番地2丁目から、マリノス芸術学園までは、約20分で着く。 「はぁあぁ。今から愚民共と肩ならべて、授業とかほんと怠い」  蒼い髪の三つ編みを引きずりながら、ボクは歩く。  幸いにもリュックには、キャンパスと筆箱、台本に楽譜などが入っている。  このまま、学校には行ける。  深く溜息を吐き、俯き独白のように語りながら歩いていた為、前を見ていなかった……。  その所為で、誰かとぶつかってしまった。  ボクは急いでいるのに。  だからつい、いつもの癖で暴言を吐いてしまった。前を見ていなかったボクも、悪いのだけど。 「ちゃんと前を見ろ愚民っ」  顔を上げてみれば其処には――。
/37ページ

最初のコメントを投稿しよう!