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カリア街南部のブリュワーズ地区25番地4丁目にボクのアトリエはある。
ボクが向かう商店街が在るのは三つ先の22番地1丁目。長く緩い三つ編みをいつも通り引きずって歩いていく。
蒼い髪の頭には淡い碧のコマドリの羽根が付いていて、着物とアンマッチだどよく言われるけど、ボクの羽根だし気に入っている。
歩くこと数十分、マリノス芸術学園の予鈴が鳴る。
待て、ボクは何か忘れている気がする……。大事なことなんだろうけど何だっけ……。
考えながら歩くこと更に30分。
「あ。……思い出した、今日、学校の日だ」
思い出せたは良いが、乗り気ではない。ボクは、自らの芸術作品を完成させたいのに……。
時計を見れば、9時50分。学校が始まるのは10時、授業が始まるのは10時30分から、まだ間に合う。
因みに、今日の学校は自由参加なので出席しなくても何も言われない……と言うか、少々遅れても、居なくても気付かれない。だけど、やっぱりボク的にはなんや言うけど行きたいのが、本音だった。
結局目的地を学校にした。なので通る道を商店街22番地1丁目から、24番地2丁目に変える。
22番地1丁目から、マリノス芸術学園まで約40分。対して、24番地2丁目から、マリノス芸術学園までは、約20分で着く。
「はぁあぁ。今から愚民共と肩ならべて、授業とかほんと怠い」
蒼い髪の三つ編みを引きずりながら、ボクは歩く。
幸いにもリュックには、キャンパスと筆箱、台本に楽譜などが入っている。
このまま、学校には行ける。
深く溜息を吐き、俯き独白のように語りながら歩いていた為、前を見ていなかった……。
その所為で、誰かとぶつかってしまった。
ボクは急いでいるのに。
だからつい、いつもの癖で暴言を吐いてしまった。前を見ていなかったボクも、悪いのだけど。
「ちゃんと前を見ろ愚民っ」
顔を上げてみれば其処には――。
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