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絶対王政のアウァーリペリティア。そのアウァーリペリティアにある一つ、アーミッシュ王宮下街には、その政権を握る王が住まう王宮が建てられている。
水が豊かなシアビラン街の上層、アーミッシュ王宮下街。その麗しい街並みは、現王の父が王の時に新しく改装されたが故。その時はまだ闇商売人も、吸血鬼も、地下街も無かった。
ただただ和気藹々と身分差もなく平和な活気溢れる時間だっただろう。
そんな、アーミッシュ王宮下街の丁度真ん中に噴水広場は有る。其処は幼い子から老いた人まで老若男女集まる場所だ。
王宮から真正面に有り、明るくいつも誰かしら人が居る。
その噴水広場から、一本細い裏路地に入れば、薄暗い地下街アッシュムーアへの入り口がある。
吸血鬼が棲む地下街への入り口が。
その入り口は、裏路地には似つかわしく無い豪邸の裏に在る。
その豪邸の持ち主は、アルセウス=クロッカス侯爵。
キリク・アール・ドミニオン=クロッシェ王の血を持つクロッカス家。
クロッカス家はクロッシェ王家から別れた少ない分家の一つ。
遠い遠い遠い遠い遠い親戚が王になるのだ。
そう、だから……決して経済的に苦しかったわけではない。クロッカス家は、このアウァーリペリティアに建てられたアール・マジェスティ王宮に住まう王の血縁者なのだから。
然し、どんな人にも……否、どんな家にも……裏と表は有るものだ。
幼き子供が見てはイケない大人の秘密……。
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