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申し訳ない気持ちを表現しようと、もう一度鳴き声をあげて意思表示をした途端、また身体に嫌な痒みが走った。
ここで掻けば、更に毛が抜け皮膚に傷がつくことをあたしはもう学んでいる。
少しでも身体に負担がないよう、床へ軽く痒い部分を擦り付け、どうにか痒みをごまかしておく。
それでも、弱くなったあたしの皮膚から抜け落ちた毛が幾本か散らばり、明美が悲しそうな顔でそれを集めゴミ箱へと捨ててくれた。
「ほんとに、ユメの身体どうしちゃったんだろうね。変なウイルスに感染してるとかだったら、お医者さんだって気づくはずだし……このまま死んじゃったら嫌だなぁ」
「…………」
独り言のようにそう呟いてあたしを見下ろす明美の瞳に、少しだけ透明な雫が滲むのを見てしまい、あたしはそろそろ決断をしなくちゃいけないときが近づいているんだなと、そんな気持ちと覚悟を湧き上がらせた。
★
それから一週間ほどが過ぎた、暖かい日差しが降り注ぐ春の日に、あたしは明美と暮らした思い出の部屋を抜け出す決意をした。
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